今週の説教要旨

HOME   >  今週の説教要旨

2015年2月8日                              降誕節第7主日

「イエスの宣教」 

榎本 栄次 牧師

ルカによる福音書4章14-30節

「学問は今生きている人間が向き合っている課題と、無縁であってはならない」これは
長州藩の学者、吉田松陰が収監中、同囚たちとの孟子や孔子についての学習会で述べた言葉です。彼にあっては、たとえ自分は獄舎の中におかれていても「日本がおかれている状況」について無関心ではいられませんでした。信仰についても同じことが言えるのではないでしょうか。今、自分の置かれた状況から、この世界を見、御心を問う者でなければなりません。時代は変わり、場所が異なると、そこで向き合う課題も一様ではなく、そこでしかない言葉や真理に出会います。そこに出ることには恐れや不安が伴います。
 主イエスは、バプテスマを受けた後、「聖霊に満ちて」、ヨルダン川から帰り、悪魔の誘惑を受けられました。そして「霊の力に満ちて」ガリラヤにお帰りになりました。ここにはある種の逞しさが感じられます。ふるさとナザレに帰り、懐かしい人々と再会されたことでしょう。安息日に、いつものように礼拝をするために会堂に入り、聖書朗読をされました。その内容は、四つの内容を持っています。
 第一に、貧しい人に福音を告げ知らせるため、第二は、捕らわれている人に解放と目の見えない人に視力が回復するため、第三に、圧迫されている人を自由にするために、そして第四に、以上の三つをまとめて「主の恵みの年」(ヨベルの年、レビ記25章)の到来を告げ知らせるためです。ヨベルの年とは「雄羊」という意味ですが、転じて「雄羊の角でできた角笛を吹いて始まる解放の年」を意味するようになりました。この年は50年ごとに訪れ、その年には、出稼ぎの人々も自分の家族のもとに帰り、売られた土地も元の所有者に返され、奴隷も皆解放されました。これはそのまま主イエスの宣教の内容でした。「目の見えない人は見え、足の不自由な人は歩き、らい病を患っている人は清くなり、耳の聞こえない人は聞こえ、死者は生き返り、貧しい人は福音を聞かされている」(ルカ7:21-23)。このことがキリストの到来によって今現実となり、「今は恵みの時、今こそ救いの日」(コリントⅡ6:2)
 主イエスは講壇で「この聖書の言葉は、今日、あなた方が耳にしたとき。実現した」(21)と宣言されました。イエスは「自分の考えを述べたのではなく、自分自身を伝えた」(ルナン)です。そして「今日」(セーメロン)という言葉は、いつでもある[今日](クロノス)ではく今この日です。主の祈りで言う「日ごとの糧を今日もお与えください」と祈る、他の日ではない今のこの時(カイロス)を指し、「今日救いがこの家に来た」(ルカ19:9)という一回限りの日として用いられます。主イエスの福音は、超時間的なものでありつつ、一般的ではなく、今、ここに、特定の時に個人に向かって語られた宣告です。
 人々は、主イエスの到来をたたえ、その語られた福音に喜びました。しかしイエスはここで、旧約聖書を引用しながら、エリヤはやもめみんなを助けたのではない、エリシャはらい病人すべてを救ったのではない。ひとりのやもめとナアマンひとりを救ったのだと言いました。その福音は、特定の選ばれた人たちであって一般的でないことを告げました。それを聞いた会堂にいた人々は一変して、憤慨して総立ちになり、イエスを山の崖まで連れて行き突き落とそうとしました。しかしイエスは彼らの中を通り抜けて立ち去られました。
 なぜ彼らは怒ったのでしょうか。自分たちの中に福音を閉じ込めようとするのです。そこから神の声を聞こうとしないことが怒りとなるのです。ここに悔い改めが求められます。
音声をお聞きいただけます

2015/2/8 イエスの宣教

日本基督教団 世光教会のご案内

世光教会の礼拝に参加をしてみたいとお考えの方、キリスト教会は、キリスト教信者だけが集うところではありません。
厳かな雰囲気と温かみのある空間で、清々しい祈りの時間をお持ちいただけます。
小さなお子様づれでも安心してご参加ください。
また、信仰のこと、心に抱えている悩みごとなど相談したいことがございましたらご遠慮なくおいで下さい。
いつでも、皆さまのお越しを、心から歓迎いたします。
世光教会では、結婚式をはじめ、キリスト教による告別式など冠婚葬祭も心をこめておこなっています。

聖書It would be greatly appreciated by the person who makes peace. The reason for the person is that it is called the son of God.-平和をつくる者は幸いです。その人は神の子どもと呼ばれるからです。