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2014年7月27日 聖霊降臨節第8主日
「天における勝利」
榎本 栄次 牧師
ヨハネの黙示録 12章
「あなたがたは世で苦難がある。しかし、勇気を出しなさい。わたしは既に世に勝っている」(ヨハネ16:33)。この御言葉が示すように、天においては既に諸々の戦いに勝利して下さっているのです。私たちのこの世での戦いは、勝利に裏付けられた戦いなのです。福音はそれを知らせる良き訪れです。
今日のテキストでは、神の国の悪魔との最後の戦いが述べられています。それはまず天上において戦われ、次に地上でなされています。「一人の女が身に太陽をまとい、月を足の下にし、頭には12の星の冠をかぶっていた」(1)というのは、教会のことです彼女は子どもを宿しており、産みの苦しみと悩みのために泣き叫んでいます。教会の苦しみは並大抵のものではありませんでした。この世にこれほどの苦しみがあっていいものかと思われる程ひどいものでした。しかしその苦しみは新しい命を生むという希望に繋がるものでありました。その理由が以下に書かれています。
もう一方に「火のように赤い大きな竜」がいます。「7つの頭と10本の角があって、その頭に7つの冠をかぶっていた。竜の尾は、天の星の3分の1を掃き寄せて、地上に投げつけた」(3)のです。これも具体的な怪物ではなく、この世の権力のことを象徴的に表現したものです。権力者は教会の信徒を見つけては殺しており、何とか根絶やしにしようと躍起になっていました。クリスチャンだけではなく、その地域に住む人を皆殺しにしました。
さらに竜は「子を産もうとしている女の前に立ちはだかり、産んだら、その子を食べてしまおうとしていた」(4)のです。その子とはイエス・キリストであり、その弟子であるキリスト者のことです。竜はこの子を食い尽くそうとしましたが、「子は神のもとへ、その玉座へ引き上げられた」(5)のでした。すると、天において竜と天使の戦いが起こりました。(7)全人類を惑わしていた竜がその支配を永遠なものにしようと天に戦いを挑んだのでした。しかしそれは天使の勝利に終わり、竜は地上に投げ落とされました。そして天上では大きな勝利の声が聞こえました。「今や、我々の神の救いと力と支配が現れた。神のメシアの権威が現れた」との勝利の歌を高らかに歌い上げています。
しかし天における完全な勝利が明らかになりましたが、地上に投げ落とされた竜は、「神の掟を守り、イエスの証しを守りとおしている者たちと戦おうとして出て行った。そして、竜は海辺の砂の上に立った」(17)のです。
現実の社会では女たちの戦いは続いており、さらに辛く厳しい現実がやってきます。教会にとってローマ帝国の攻撃は止むことがありませんでした。しかし彼らに示された幻はすでに戦いの勝敗は決しており、天上においては勝利の讃美が高らかに「ハレルヤ」と歌われているのです。この知らせを福音(ゴスペル)と言います。
現実は決して甘くはない。さらに厳しいことは続くでしょう。しかし天における戦いは済んでいるのです。「小羊の血と、自分たちの証しの言葉とで、彼にうち勝った」(11)のです。女の苦しい叫びは希望に繋がる命の叫びです。主の到来により全てが希望に変えられました。「しかしこれらすべてのことにおいて、わたしたちは、わたしたちを愛してくださる方によって輝かしい勝利を収めています」(ローマ8:37)その主に繋がっていましょう。
2014/7/27 天における勝利