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2014年6月15日 聖霊降臨節第2主日礼拝
「時のしるし」
榎本 栄次 牧師
ヨハネ黙示録 8章1-13節
自然破壊と公害問題は地球規模の問題になっています。「早く、立派に、強く」が近代文明の倫理であり神話のように追求されていますが、その終焉を見るのも遠い話ではないかも知れません。この世界は、山の木は伐採され、土や木からコンクリートの社会へ、命から無機質の世界へと変貌しつつあります。人の心も「それはいくら」とお金で計られるような時代です。海は汚れて魚は死に、川の水は汚染され、人々がひどい病にかかる。太陽はオゾン層の破壊で紫外線の被害で生物が焼かれる。このような現象の中に「時のしるし」を見ることが必要なのではないでしょうか。
人は正しいことを知ってもすぐに行動できません。ひどい目にあって、自ら困り果てることから本心に立ち返る者のようです。ひどいことがなければ人は救いにいたらない者なのかも知れません。私たちは前の戦争でいやと言うほど知らされて「二度と戦争はしない」と心に誓ったはずです。しかし時がたつにつれ、「お金が大事」という理由で、忘れ去られようとします。神さまは人を苦しいことの場に置くのは、その人を裁くためではなく、生きるようにするためです。「片方の手か足があなたをつまずかせるなら、それを切って捨てなさい。両手両足がそろったまま永遠の火に投げ込まれるよりは、片手片足になっても命にあずかる方がよい」(マタイ18:8)とイエス様が言われた。神さまは厳しく立たれるけれども、私たちを救うためです。
黙示録8章はいよいよ、第7の封印が解かれることになります。7人の御使いがラッパを吹きます。第一の天使がラッパを吹くと、地上は焼け、木や青草が焼けてしまいました。私たちの地球はとてもよい状態に置かれています。太陽の光がそのまま当たるとやけどをしますが、オゾンで守られているからです。酸素が02であり、オゾンはO3です。そのオゾンがクッションのようになって強い紫外線から生物を守ってくれてちょうどいい温度で生活できているのです。ところが最近そのオゾン層がすごい勢いで破壊されているそうです。そのために皮膚ガンにならないために紫外線から身を守らなければなりません。それは二酸化炭素CO₂増加によるものです。
第2の御使いがラッパを吹くと、海が血のようになり、海の生物の三分の一が死んだというのです。海水の汚染も深刻です。数年前、若狭湾沖でロシアのタンカーが座礁してこぼれ出した石油で死に絶えた生物の痛ましい姿を思い出します。海川の汚染は深刻です。私の故郷に行くと泳いでいた川や小魚を釣った池は汚染されて蛙さえいないのに驚きます。経済中心できた結果でしょう。
第三のラッパを吹くと、「苦よもぎ」という名の星が川の源に落ちて多くの人が死んだ。ロシア語で苦よもぎはチェルノブイリというそうですが、不思議な摂理を感じます。福島の原発事故は他人ごとではありません。
第四のラッパを天使が吹くと、太陽も月も星も3分の1の光を失いました。そのために昼も夜のようになりました。地球だけではない。宇宙がおかしくなるときが来るのです。
これらの預言は今日の地球の状態と怖ろしいほど一致するところがあります。主イエスは、「空模様を見分けることを知っているのに、時代のしるしを見ることができないのか」(マタイ16:2-3)と言っています。主が来られているにもかかわらず、それを知らず、悔い改めることをしないファイサイ人たちを責められたのです。ノアはイスラエルの堕落に神が怒られたしるしを見て箱船を造りました。ヨナはニネベの人たちの罪に対する神の裁きを預言しました。そのしるしを見てニネベの人たちは悔い改めたのです。
時のしるしは、今も私たちに示されています。「早く、立派に、強く」という倫理で自分たちの幸せを神のようにしてきた人類が、この時代に示された「時のしるし」を見、悔い改めなければなりません。神は人を滅ぼすことを目的とされません。3分の2を残し、救いに導くために3分の1を滅ぼされるのです。主の示される時のしるしを見て、この時代に悔い改めるものでありたいと思います。
2014/6/15 時のしるし