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2014年1月26日
「いちじく桑の木の下に」
深見 祥弘 牧師
ルカによる福音書 19章5節
イエスはその場所に来ると、上を見上げて言われた。「ザアカイ、急いで下りて来なさい。今日は、ぜひあなたの家に泊まりたい。」 (ルカ19章5節)
私は以前、高知の教会で働きをいたしました。そこで一人の姉妹のお連れ合いが救われたのですが、この方は「わしも、そろそろいちじく桑の木からおりようかのう。」と言われ、その後洗礼をお受けになられました。
エリコの町に徴税人の頭でザアカイという人がいました。過ぎ越し祭の近づいた日、彼はイエスがこの町を通られると聞いて、イエスを見たいと思い、先回りしていちじく桑の木に登りました。やがてイエスがその場所に来られると、上を見上げて「今日は、ぜひあなたの家に泊まりたい。」と言われました。ザアカイはイエスを家に案内し、「主よ、わたしは財産の半分を貧しい人々に施します。」と言いました。イエスは、「今日、救いがこの家を訪れた。」と言われ、彼の悔い改めをとても喜ばれたのでした。
「いちじく桑の木」は桑科のかん木で、大きくなると10メートルくらいになります。この木は低いところからも太い枝が出て、枝だけでなく幹にもたくさんの実をつけるので、その実は貧しい人や旅人が食料となりました。伝承によると、ヘロデ王の幼児虐殺命令によりエジプトに逃れた聖家族は、マタリア村のいちじく桑の木の下に宿ったという事です。さらにこの木は、軽く加工しやすく、防腐性にも優れているので、赤ちゃんの寝台や家具、そして柩の材料にもなりました。
ザアカイは、自らの罪を償った結果、家をはじめ財産のすべてを失ってもよいと、告白しました。いちじく桑の木の下に宿ること、すなわち、キリストと共にある生き方をのぞんだのです。「いちじく桑の木」を宿とするなら、彼は次の恵みをいただくことができます。①ザアカイはキリストを見ることができます。②キリストがザアカイの下にお立ちになられ、理解してくださいます。(UNDERSTAND)③キリストがザアカイを養って下さいます。④キリストがザアカイを生まれた時から死ぬ時まで(赤ちゃんの寝台から柩まで)包み導いて下さいます。
また、「いちじく桑の木」とは「教会」のことだという事がわかります。
①教会、ここに登ってくるならば、わたしはキリストを見ることができます。②教会、ここに登ってくるならば、キリストがわたしの下にお立ちになられ、わたしを理解してくださいます。③教会、ここに登ってくるならば、キリストがわたしに豊かな養いを与えてくださいます。④教会、ここに登ってくるならば、キリストが「今日は、ぜひあなたの家に泊まりたい」と呼びかけてくださり、キリストと歩むことを始めることができます。⑤教会、ここに登ってくるならば、生まれた時から死ぬ時まで、そして御国に至るまでキリストがわたしを包み導いてくださいます。これらすべては、いちじく桑の木の下にお立ちくださるイエス・キリストがわたしのため、そして私たちのために備えて下さっている恵みです。
私たちは恵みをいただいて、キリストと共に我が家に、そして働きの場へと向かいましょう。そうするならば、「わしも、そろそろいちじく桑の木から降りようかのう」と言って救われる家族や友人を見ることができるでしょう。なぜなら、イエス・キリストがその人たちに呼びかけて下さるからです。